8年ぶり、8年ぶりって皆言ってその前提で聞いてるけど、僕はリアルタイムでは聞いてなかった民だからさ…
6.0
「アルバム出す出す詐欺を繰り返したミュージシャンの8年ぶりの新作」という触れ込みが結局のところ一番の注目ポイントになる作品だと思う。
僕は別にリアルタイムで聞いていたわけでなく、ファンでもないので待ちわびた作品という視点には一切立っていない。
スラムダンクで三井を2年間待っていた小暮の4倍も待っていた、4小暮スタイルのファンとは本作の受け止め方みたいなものは全く異なる。
色々な芸術の中で、とかく音楽というのはピークが短い。
作家や画家が晩年に誰もが認める傑作を残すというようなことはままあることだけど、ポピュラーミュージックにおいてはその例がほとんどない。
まあ、ポピュラーミュージックが誕生から浅いということは指摘としてあるかもだけど、60を過ぎたロックミュージシャンのレジェンド達が傑作といえるような作品を残せていないことからも、完全に否定は難しいものだと思う。
ということで、Don’t Be Dumbのレビューに戻るのだけど、8年も立てばミュージシャンとしての才能は劣化してしまうものだと僕は思っているという感じ。
このアルバムは前半と後半で結構印象が異なる。
前半は洗練されたプロデュースがされた取っつきやすい楽曲、後半は結構実験的というか面白いことをやってみようという気概を感じる楽曲が寄っていると感じた。
前半は、正直なとこ聴いていてもあまり引っ掛かりを感じなかった。
悪いと感じるところは一切ないけど、刺さりどころがなく、聞き流せてしまうようなあっさりとした感じ。
この部分について特に語ることはないのだけど、アルバム全体が1時間近くあって、このあっさり期間が長いのは個人的には辛抱が必要だった。
後半は面白い瞬間が結構多い。
9曲目の”STFU”から空気感が変わる。
インダストリアルなノイズを大げさに取り上げて、あらゆる角度から音が押し寄せるような感覚を受けてイイ感じ
10曲目の”Punk Rocky”は一気にロックに寄せてきて取っつきやすいながら、前半の引っ掛かりの無さとは別でストレートにカッコいいと感じられる。
そして一番面白いのは13曲目の”Robbery”で、オシャレなラウンジジャズをバックに展開される楽曲で、本作の中でも最も引っ掛かりを感じた曲だった。
と、後半は前半と比べてイイ感じではあったが、突き抜けたものを感じる程ではなかった。
前半だけだとファン向けの挑戦が足りない作品になってしまう、後半だけだとちょっと新規にはウケにくい、という感じでいいとこどりをしようとしたのかもしれないが、本作は収録時間が1時間もあって結構長い、
アルバムとして通して聴くにはちょっと怪しい瞬間が多くあると感じた。
ということで、この作品は8年間待ったファンを満足させるという視点で言えば、かなり出来た作品だという印象となった。
前半部分は過去の焼き直し部分が多いかもしれないが、大半のファンはこれを望むだろうし、後半は次作を期待させるような瞬間もある。
一方で、新作を待っていたとか、そういう気持ちが一切ない初見の民としてはちょっと退屈な瞬間が多く、後半もすべての曲が面白いというわけではなく、アルバム全体では手放しで褒められるというものではないように感じました。
最初に書いたように、作品の内容よりも「アルバム出す出す詐欺を繰り返したミュージシャンの8年ぶりの新作」というのが一番評価するべきポイントというものになってしまったと感じたというころ。
ということで、本作、大変(鼓膜が)震えました。
鼓膜が震えた音楽